カテゴリ:制作に関して/雑感( 20 )
等間隔なようで等間隔でなく
縞や格子を織る際には必ず同じ間隔には「しません」。ほんの少しだけ、左右上下にブレさせます。また、左端と右端や、始めとと終わりも、大抵は違う色や柄にします。
等間隔なようで等間隔ではなく、移ろうのは常、そういうのがとても人間くさいと思うし、不均一な葛の糸にもしっくり馴染むと思うからです。「何だか懐かしい」とか「ホッとする」という感想を頂くことがたまにあるのですが、それはきっとそういう理由なのだと思っています。

角帯地
キナ(kina/草)
を織った経糸の余分ぶんで織っている卓布

展示前のラストの作品
ギリギリ 急げ

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by watanabeshino | 2017-04-27 15:56 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
糸の強度の確かめ
葛の繊維から布になるまで、特にその強度のチェックを3度しています。誰に教わったということではなく、自然とそうなりました。

1度目は葛苧(くずお・繊維の状態)を裂く時
2度目は績む(裂いた葛苧の端と端を結ぶ)時
3度目は織る時

写真は糸を績んでいるところ。左側が裂いた葛苧で右の茶櫃に入っているのが長い糸になった葛の繊維です。

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葛の糸は地に生えていた時の状態によって質が均一ではなく、強い弱い、硬い柔らかい、いろいろです。私はあえてそれらを分けることはしていませんが、布にした時に後々弊害が出そうなくらいに不都合なものはやはり避けています。また、おそらく葉の根元にあたる部分などだと思いますが極端に部分的に切れやすくなっているところもあり、そういう場合は切って結び直しています。
そうしたチェック&補強を、繊維から布になる間に3度、しています。

葛の糸には撚りをかけていません。これは遠州地方に古くから伝わる方法です。葛の糸の特徴である光沢をより美しく出すために、実用面での強度を多少犠牲にしたのではないか、とは織元がおっしゃっていた言葉なのですが、葛の糸に撚りをかけるとそれは絹糸と見紛う程に綺麗ですし糸もとても強くなりますが、葛の糸の面白さや特長が失われてしまう、と私も思います。ですので、不本意な破損のないように、糸の強度には少し神経質になります。


北海道における葛布の帯は、といったって今の所は私しか織っていないのですが、まだまだ作る人と使う人が共に育てていく段階だと感じています。もちろん、だからといって不確かなものを作っている、という訳ではありません。葛布の帯自体は古くからあったようですし、衣服として利用されてきた古い歴史もありますし、現在静岡の数件の織元でも葛布の帯は生産されています。しかし、それほど多くの人が使っているわけではありませんしそう多く売られているわけでもありません。ましてや、北海道産の葛の繊維のものは私の織ったもの数本以外はまだ世に出ていません。ですから、見たことがない、という人が大半で、ゆえに、耐久性や使い方、扱い方に不安を抱く方も多いと思いますし、使う人の使い方によっては色々の予想外の違いが出てくることもあり得ます。

葛布の帯をお使いの方、特に私の織った葛の帯をお使いの方とは、長く長く関係を保って、扱い方をお知らせしたり、いろいろの長所短所を伝えていただきながら、不具合があればその都度相談しながら改善しながら、共に歩んでいきたいと、今、葛の糸を作りながら、そんなイメージを抱いています。

私の織った葛の帯が手元にある方で、もしも気が向きましたら、ご一報いただき、使い心地やご感想などお聞かせいただけましたら幸いです。また、何かの不具合がありましたら、ご相談に応じたいと思います。











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by watanabeshino | 2017-01-25 14:41 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
染料は薬
これも、これも、薬になるのだと知りました。

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(どちらも、無農薬無化学肥料のものを選んでいます)

タマネギの皮の方は、当たり前ですが染料にする時と同じ色、同じ匂いでしたから、体の中が黄色くなるのではないかと飲むのに若干躊躇しましたが、肺を整える作用があるというので飲みましたら、何と良く効くのでビックリしました。息をする度にゼロゼロいったり肺の痛いのが本当に治るのです。

プラセボ効果も多いにあるのかもしれません。でも実際調子が良くなるのですからそれに越した事はない。世のほとんどの薬だってそんなものかもしれません。

「服薬」という言葉の由来について、もとは薬効のある草木の抽出液で染めた「服」を身につけたり皮膚に当てたりする事だったという説を、あちこちで耳にします。改めて、その言葉いかにもと感じ入ります。薬にもなる抽出液で染めた布を纏う事で、皮膚との間に何かしらの物質のやりとりがあってもおかしくはなく、それによって心身が癒されるという事は多いにあると思います。

医者にかかるまでもない細かな不調にきちんと気づき、手軽で気軽で副作用もないこうした行為で治す、をやっていれば、きっと大病には至らないのでしょう。

いつも何気なく食べているものでも一つ一つに役目がある、それを意識して食べるか何となく食べるか、毎日の食事ですからその積み重ねは後々大きな違いになるのだと思います。

私がいつも使っている染料の中にも、定説として薬効のあるものがあります。そうした事も意識しながら染め織りたいと思いました。

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by watanabeshino | 2017-01-12 11:59 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
麻について
今年のじょじょさんでの展示で印象的だったのは、「葛は麻とはどう違うのですか」「これは麻ですか」といった類の質問をした方が複数人いらっしゃったことでした。

大麻、黄麻、亜麻、苧麻、赤麻

すべて「麻」の漢字があてられているので、とても紛らわしいのですが、これらは全て違う植物で、苧麻と赤麻はイラクサ科という同じグループに属する植物ですが他は科目までも違う、全く別の植物です。もちろん、その繊維の様子や布も違います。

私もそう詳しいわけではなく断片的な認識ではありますが、日本語の変遷上、綿以外の植物繊維を全て「麻」と言ってしまった経緯があるそうで、今や日常生活ではそれらを使い分ける必然性もなく、きっとその言葉の意味は漠然としか存在していない。だから、どうも植物らしい葛の繊維を前にして、自分の中の語彙を辿って探り当てた「麻」、しかし自分の知っている麻とは結びつかない、何だろう?となって、質問してくださったのですね。

言葉が失われるとその背景にある多くのものも失われる。何気なく使う言葉の積み重ねは、結果としてなかなかに恐ろしいものにもなりうるのだなぁと、感じ入ります。

多様なものは多様なままでいて欲しいと願う。

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チビ葛布の壁飾り


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by watanabeshino | 2016-11-26 08:15 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
時を経て尚美しく
この布は、角帯として1年半くらい前に織ったものです。柔らかすぎたので、センチごと切り売りしようかと思っていたのですが、止めました。

というのも、先日のじょじょ展で展示していた際に、「帯として充分使えるわよ、切ってしまうなんてもったいない」と言ってくださった方がおられ、少し自信をつけた私は、展示後、水を通しアイロンをかけましたら、何というか、何とも言えぬ、時を経た分の何かが宿った風で、最初の頃の雰囲気とは違い、固く締まりながらも、何かしっとりと良い感じになっているのです。水を通した事で多少の歪みが出ましたが、それもまた何か良い雰囲気で。これを切って細切れにしてしまうのは確かにもったいない。時を経るごとに風合いが変わり馴染んでくるのは、自然布の特徴でもあります。

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普段に着物を着るようになって、帯は頼りないほど柔らかくても全く問題ないどころかかえってとても楽だということが分かったことも、これはこれで帯として充分活用できると思う気持ちを後押ししました。

柔らかく軽いので、体に全く負担なく、着物を支えてくれます。葛布というと夏のものと思いがちですが、木綿や紬の着物になら、一年中つけても違和感ないようにも思います。

普段の着物にヘビーに使ってもらって、破損したら、直したり葛布の小さな布でアップリケしたりして、長く永く使ってもらえたら嬉しい。

そう考えると、何だかとてもロマンのある布にも見えて来ました。何といいますか、織り上がった時点で既に私の手は離れている感覚があります。葛布のこうした特徴は、葛と絹の良さであり、きっと最初から既に私の作品ではないのです。ゆえに、私は恥ずかしげもなく、まるで他人の作ったもののように、良いものを良いと言っています。

詳細はこちらにあります。
http://kitanokuzu.exblog.jp/22246548/



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by watanabeshino | 2016-11-20 11:57 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
北海道に暮らす青
今年の藍は色が出すぎて濃く染まりすぎて、贅沢にもホトホト困っていたのですが、ちょっとした加減を覚えたこともあり、建ててから4ヶ月が経とうとしている今、やっとこの色が出て来ました。

灰がかった、薄い
雪の影の、雪雲のある空の灰暗い、吹雪の向こうに潜む灰色の、雪国の青。

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私は、色も土地の影響を受けるものと考えています。その土地で取れた色、その土地に暮らす色は、その土地に暮らす人にとって、もっとも心地よい。

藍染の濃い青は確かに綺麗ですが、しかし、私には目に強すぎる。温暖湿潤な土地にはきっと似合う、でも、北海道の土地には、どうもあまり馴染まないのではないかと思います。

奇しくも、先日、北海道に自生していた青の染料になる「エゾタイセイ」も、こんなような薄い青に染まると聞いてやはりと思いました。
また、伊達の蒅を灰汁で建てると、鮮やかな青は出ず、こんなような青しか出なくて、それは、きっとその土地に生きる藍だからこその色なのではないかと思っています。

私は、北海道に暮らす青、北海道に暮らす色を、出していきたいと思っています。

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by watanabeshino | 2016-11-18 08:30 | 制作に関して/雑感 | Comments(4)
使った糸リスト
使った糸のリストをそれぞれにお付けしています。

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そこに、先日自分で彫った葛の文字の印を押してみました。
私の所で織ったという良い証明にもなり、良い雰囲気になりました。

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by watanabeshino | 2016-09-22 17:00 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
着物のしきたり、決まりごと
着物を沢山頂きました。
といってもそれは随分前で、最近になってやっと開けたのですが。

そうして、自分で誂えたものはほんの数枚しかない私が、色々の着物を「選べる」ようになって、とかく敬遠されがちな着物のしきたりや決まり事は、逆手に取ればとても楽しい営みでもある、という事に最近気づきました。

今の季節で、この天気で、この気温で、このシチュエーションで、相手の方のお立場はこうで、私のスタンスはこうで、さて、どうする?とくるわけで、それはまるで「なぞかけ」のようなのです。

この状況で、この着物、その心は…

という訳です。

なぞかけでも沢山の引き出しがあった方が良いのと同じように、着物のしきたりや決まりごとを分かっているとそれだけ自分の選択肢も増えるということ。それは「せねばならぬ」ではなく、もっとファジーで流動的な、着物に楽しみを付加するための共通意識というか、全体的なルールというか。順当に行く時もあれば、おーそう来たか!となる時もあり、いわば「物言わぬユーモア」「言葉にしない相手への敬意」発信側も受信側もお互いにそれぞれの知識の中で言葉を介さずやりとりする。随分と深みのあるコミュニケーションです。

着物沢山あったけど全部捨てちゃったわ、と耳にする事が多いですが、着物は個人の所有物というよりは皆の共有財産みたいな所があるので、もしも手放したい場合には、捨てようかと思う前に、いえ決して捨てずに、着物に所縁のある人に相談してみてくださいね。



さて、大きな柄の小紋で光ってるこの着物は一体どういう時に着ようかと思っています。なかなか出番がないような、いやそこはトンチを効かせて…

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by watanabeshino | 2016-06-08 08:47 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
亜麻

 久しぶりに、昨年末展示会を一緒にした亜麻布の小野田さんと、玄米ごはんカフェじょじょで、お会いしました。亜麻は北海道の気候にピッタリの植物ですし既に本当に沢山の方が試行錯誤しながら取り組んでいることを再確認、手作業による、新しい日本の自然布となる可能性をとても感じます。一人一人が自分のできる範囲の事に取り組んで、全体が何となくファジーに繋がっている感じが、私はとても好きで、かつ、なんだかそういう、個人主義でもなく全体主義でもなくグループでもなくバラバラでもないようなまとまりが、北海道の土地柄人柄らしい感じもします。亜麻は、きっと既にそういう素地ができている。


 で、私も何だかにわかに亜麻熱が再燃して、スピンドルで手元にある亜麻の繊維を紡ぎ出しています。しかし、亜麻は、紡ぐといいながらどちらかというと他の植物繊維と同様に、「績む」作業に近いんじゃないかと今更ですが思いました。長い繊維を長いまま繋ぎ、端と端の繊維を絡めて撚りをかけてやると、とても綺麗な糸になります。

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この糸は箸置きの経糸に使います。葛に取り組む前に亜麻の糸に挑戦して断念している経緯も相まって、亜麻×葛の布はずうっと昔からの憧れでした。叶いそうで嬉しい。


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by watanabeshino | 2016-04-09 12:45 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
時が経っても色褪せず
 着るものも食べるものと同じくらい体に影響するんじゃないかと思っています。ある特定の場所で買った特定の服を着ていると決まって具合が悪くなるという経験を自分自身が重ねたうえに、各方面からの衣服に関するそうした声を聞くにつれ、そう思うようになりました。だからといって、盲目的に、自然素材だから手作りだから大丈夫、石油由来だから工業製品だからダメ、という話では全然ありません。多分何にしても良いものは良い。質の良いものはそこに内在しているダメなものをも上回る機能を持ち合わせているのでプラスマイナスでプラスがはるかに多いということであるかもしれないし、素材の持つ性質に対する用途の違いゆえかもしれない。それは自然素材も化学繊維も同じです。

 手元にある冬用のアウターウェアが今年で使用5年目くらいになりました。2年くらい洗っていなくてあまりに汚かったので先日専用の洗剤で洗い、撥水スプレーかけました。新品の頃よりはもちろん機能的には劣化してきていますが、愛着も含めていい味出ています。

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 「時が経っても色褪せず、むしろより輝きが増す」というのはかねてからの私のもの選びの基準、ものづくりの基準、なのですが、山用ウェアもその機能もさることながら年月を経ても良い味出す、さすがやはり良いものは良いのだなと、5年目にして思います。中にはウールや麻などの素材を組み合わせてあるものもありますが、ほとんどは化学繊維です。でももちろん着ていて具合が悪くなるということはありませんし、むしろ山ではこれでなければいけません。しかし、山へ行く時の服装なので、ただ単に気持ちがルンルンしていて具合の悪いのを寄せ付けないということもあるかもしれません。そういう意味でも、衣服の素材の性質と用途というのは重要な要素だと思います。

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by watanabeshino | 2016-03-11 14:07 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)



織/葛の糸と葛の布
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