木枠機、腰機、糸だけの織り装置
『時を織り込む人々』という本がある。
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出版年は2001年。
博多織の源流を辿ろうと中国の苗(ミャオ)族の織物を、15年に渡って現地に何度も通い研究した鳥丸貞恵さんという方の本。当時札幌芸術の森で、現代アート作家や(確か)陶芸家、(現在私の先生である)織りのみやはらみゆきさん、鳥丸さんの講演があり、まる2日間かけての鳥丸さんの、苧麻の糸取り〜糸作り〜苗族の織りの、実習講座もあって、私は抽選に漏れたにもかかわらず当日直接かけあい無理やり鳥丸さんの許可を得て参加させてもらった。本はもちろんその時に買ったもので、苗族の編み、織りについて詳細な紹介がされている。写真のように大きな装置を使っているものから、糸と自分の体だけで織っているようなものまであるのだが、経浮き織りを軸にした細かな模様が大変美しく、信じられないくらいに簡単な装置で、なんとこれだけのものが織れるのかと衝撃を受けた。なんというか、この時の講座の体験とこの本で読み知った体験とが、私の織りの、もしかすると原体験、原風景、と言ってもいいのかもしれないと、今更になって、思っている。

以後、数年にわたって私は木枠の織り機や腰機を自作して、または、鳥丸さんの講座で習った糸だけで織る方法で、自分で取った葛の糸で葛布を織ろうと試みた。経糸に自分で績んだ苧麻の糸や、譲ってもらった大麻の糸を使って、葛布を織ってみたりもした。写真の木枠はその時に自分で作ったもので、今は緯絣の勉強中で織りかけ。

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その後、とうとう京都西陣の機織り機を取り寄せた訳なのだが、高機と、腰機と、木枠機と、糸だけの機と、私の心の中には今もどれもが並列に並んでいる。当たり前だが中で最も高価な高機が道具として一番優れているという訳では全然なく、腰機には腰機にしかない機能があり、糸だけの機にも糸だけの機にしかない特徴があり。腰機でないと織ることのできない布があり、高機でないと織ることができないものがあり、木枠の機でないと使えない素材があり。

「木枠の機の小さな葛の布づくり」の講座を開いているのも、そんなこんなの経緯があってのことです。

それにしても鳥丸さんの講座は短い中にたくさんのことを学べる素晴らしい講座だったが、その分とても過酷で、私は1日目の夜、寝ないで苧麻の糸績みと撚りかけを頑張った。翌日まだ終わっていないなんて言おうものなら廊下に立たされるんじゃないかというくらいの勢いのある方だった。その時に、苧麻の根をもらい庭に植えてみたが、冬の間に死んでしまった。苧麻は北海道では満足に生きられない、ならばその糸も布も、恐らくは北海道の暮らしには不向きなのだと思った。

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by watanabeshino | 2016-02-22 13:36 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
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