藍建てについて
諦めていた藍が建ってきた。伊達のすくもに、うちの薪ストーブの灰(しかも1年もの)で作った灰汁と日本酒、それにちょっとだけ消石灰。

仕込んだのが8月12日。実にまる2ヶ月。よくもまぁ毎日飽きもせず撹拌していたもんだ、我ながら、と書きたい所だが、ここのところ少しさぼっていた。定説では「藍が建つまでは一日4~5回撹拌」「建ってからは朝晩の2回」ということらしいので、最初の頃は一日4~5回、そりゃ頑張った。
しかし、日々の様子は微妙に違えど大きな差はなく、ましてや青くなんて全然ならなかった。次第に回数が減り、近頃は1日1回、それでも1日1回はさぼらずにやっていたが、そろそろもうダメか、しかし中で生きている藍の胞子を想うと、踏ん切りがつかなかった。

でももう冬になるし、申し訳ないけど化学建てで藍を無理矢理出してしまおうか、と思っていた矢先、「ヤメて~それだけはヤメて~ここまで頑張ったんだから最後まで面倒見て~」と言わんばかりに、青い色が出て来たのです。匂いも変わって来た。泡の様子も違って来た。木綿の布を染めてみると微かに青い。
室温20℃前後、すくもの量250g、灰汁の量5リットルでも2ヶ月経て藍は建ちました。



「藍建てには25~30℃の温度が必要」「毎日朝晩の撹拌」「発酵させる為のある程度まとまった量」
私の調べた範囲では、これらは藍を建てる時の一般的な方法のようです。
でも今回はこれのどれにも当てはまりませんが、藍は建ちました。

よって、上の「定説」は、あくまでも「人間」の「都合の良いように」藍を建てるための方法のうちの「ひとつ」であって、そうあらねばならないと言う訳ではないのかもしれないというのが今回の私の結論です。だって一つの藍甕が建つのに2ヶ月もかかっていたり、いつ建つのか分からなかったり、していたら、大抵の場合は商売になりません。「効率よく」「予定が立ちやすいように」試行錯誤した結果が、上記の「定説」なのだろうと思います。なので、それ自体は脈々と受け継がれてきた大変価値のあるもので、私などがどうこう言えるものでもない。

でも、「生き物」は、置かれた環境に適応していく能力があると私は思っています。いや、思っている、というより信じている、と言った方が近いかな。北海道の地、「気温が低い」「湿度が低い」そして私の都合で「量が少ない」そうした環境の中で、藍は、恐らく、ゆっくりゆっくり体を適応させながら、発酵を進めていた。私は、他の腐敗菌などがあまり猛威を振るわないように、石灰を足したり、お酒を足したり、かき混ぜたり、なるべく私の都合の良いように発酵してもらおうと努力した。その二つの力が合わさって、青の色が出て来たのではないか。

ぬか漬けは冷蔵庫に入れた場合、発酵のスピードが遅いのであまりかき混ぜる必要がないのだそうだ。実際その事を知ってから大変美味しいぬか漬けが出来るようになった。藍もきっと同じなのかもしれない。あまり撹拌せずにいた方が、発酵は進みやすかったのかもしれない。

結論
・温度が低ければ時間が必要
・焦らずじっと待つ
・そしてこの後、発酵した藍を持続させるにはどうしたら良いのか分からない。

(2014年10月10日記:ブログ移行につき転載)

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今年は習いに行こうと思います。


(後日談)
毎年夏に藍を建て、各方面の方々のご意見や実践を少しばかり知った後に分かったのは、この時に藍が建ったようになったのは藍自体の作用による「発酵」ではなく、藍樽に加えた「日本酒」や「水飴」の作用で「還元」が起こったために、青い色が出た、ということのようです。ですから正確には「発酵建て」ではなく、灰汁のアルカリと日本酒と水飴による還元建て、となるかもしれません。この場合は、染めた直後〜1年くらいは色移りがしやすいですが、数年経つと落ち着き、色移りはしなくなります。
(2016年夏 記)

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by watanabeshino | 2015-04-07 10:11 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
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織/葛の糸と葛の布
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