屋号でもなく作家名でもなく
ホームページ や Facebookページ で「北の葛布/札幌手稲」という文字を タイトルのように入れています
屋号のようですが 屋号ではありません
ただ、北海道で織られた葛布であるということ 手稲に工房があること その事実を表記しているだけ のつもりです
葛布の産地は静岡/遠州地方であり、札幌には元々はなかった布だけれども、札幌に自生する葛から布が織られているということを 文字に表し分かりやすくしたいと思っているのが その理由
屋号はありません
葛布の存在そのものが 屋号みたいなものかもしれません

「自然布に作家名なし」とは、私の葛布の師匠である大井川葛布の村井さんの言葉、私もとても共感します。織り手は最終段階の作業を以って物を完成させますが、そこに至るまで、今昔に関わらず、そして人と人でないとに関わらず、様々な力が働いている訳なので、織り手だけのものではない
ただ北海道の土地柄、便宜上、きっと多くの方にとって分かりやすいのと、「最終的には誰がどこでどのように作っているものなのか?」が分かるということが、ものを選ぶときの判断材料になると考えているのと、品物に関するご感想やご意見ご相談など お寄せ頂けるようにと 名前は明らかにしています
そのようなことから、織ったものを「作品」ということや、自分のことを「作家」と名乗るのはためらいがあり  でも、その方が分かりやすい場合はそう言うこともありますし、受け取る側の方がそう感じるのであれば 必要に応じて そう表記してくださることは全く構いません
また、屋号のようなものが必要な時には「北の葛布」と表記してくださることも、全く構いません

言葉や名前は とても大事と思いますので 私は大事に考えていて 自分の織る葛の布を「葛布」と呼ぶことも、自分なりに納得するまで 長い年月 かかりました
なんといいますか、草木の布は その土地あってのものだからです
でも、全国各地どこででも例えば葛布を織る人がうんと増えれば、そんな事を考えずとも何のためらいもなく「陶芸家」「木工家」のように「葛布作家」と言えるのかもしれませんし、そうなる事が、葛布の存続発展には必要な事なのかもしれません

今後考えが変わることもあるかもしれませんが、今は このように考えています



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# by watanabeshino | 2018-01-15 16:25 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
本日仕事始め
2018.01.03
本日仕事始め

小屋のような自宅内には外壁以外の壁がないので、仕事と家事はいつも同時進行ではありますが
一応 意識の上では今日を仕事始めとしました

今年の課題は
・作業内容を見直し、効率良く制作できるようにすること
・やることを厳選し、一つのことに集中すること

なんといいますか、命の限りを意識しています
私の生きている間、それがあと5年か、10年か、20年か、50年か、分かりませんが
なるべく長生きできるように 体を大事にしますが
いづれにしても、どうしたって私は必ず死ぬのですから、それまでに、できる事は限られる
とすると、絶対に外せないものに 意識を集中する必要があり、それ以外の事に使っている時間は無いということに気付きました
やるべきこと、歩くラインが一本 とてもシンプルです
同時に、これまでいかに あれもこれもと、道から逸れた事に時間を割き 意識が分散してしまっていたか
我ながらチトがっかりとしました
まぁ、それも必要な過程だったのか

「葛の帯」を仕事としていく
結果、「葛布」や「着物」「手織り」そのもの、またはそれを取り巻く人や諸々に貢献できる
そうしたことを 目指したいと思います


初詣は、手稲山山頂にある手稲神社奥宮に行きたかったですが あいにくのお天気でしたので
裏山山頂へ

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手稲神社奥宮はまた 天気の良い日の楽しみに
今年も幸多き年になりますように
どうぞよろしくお願いいたします







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# by watanabeshino | 2018-01-03 18:00 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
ご挨拶2017
今年も残すところあと僅か
2017年、沢山の新しい出来事があり、旧知の方々、新しく出会った方々、本当に沢山の方々に支えて頂きました
ありがとうございました
心より、感謝申し上げます

今年は、葛布の帯を知り、お問い合わせくださる方、お求めくださる方が増え、とても嬉しく、有り難く思っています。葛の帯が、みなさまの、着物を着る楽しみの一助となっているならば、作る者として、この上ない幸せです

せっかくご縁があってお手元に届いた葛布ですから、末永く使って頂けるように、万が一の破損の際の修復の技術も磨きたいと、それは来年の課題の一つ
何かお気付きの点などありましたら、気兼ねなくご連絡ください


写真は玄関の注連飾り
夏に葛の繊維を取った時に取っておいた、葛の蔓の芯で作りました
垂れ下がっているのは葛の繊維

今年一年どうもありがとうございました
来年もどうぞよろしくお願いいたします

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# by watanabeshino | 2017-12-31 14:41 | お知らせ | Comments(0)
葛布っぽくないね
こちらのブログでは一言もお知らせしておりませんでした
今年の10月に3年越しの念願叶って長野へ行ってきました

目的の一つは公募展入選できての表彰式参加
 第46回特別展「第10回現代手織物クラフト公募展」


展示していただいていたのはこちらの帯
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目的のもう一つは木曽駒ケ岳に登る
写真は千畳敷カール中腹よりロープウェイ山頂駅とホテル方面
あいにくの天気でしたが道外の3000メートル級の山に登ったのは初めてでしたので満足
景色は想像力で見てきました
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織物と山のために、着物と山道具を持って行く
私の全てを持ち歩いたような旅でした
空港で「貴重品は入っていませんか」と聞かれたときに、入っているのは私にとっては全部貴重品だったので、「貴重品って何ですか」と聞いてしまったくらいです


さてここからが本題なのですが
その展示会の講評で、審査員の方に「葛布っぽくないね」というような言葉をいただき、それがとても印象的だったのでここに残しておこうと思います
もっと違う言い方だったかもしれません。でも恐らくは、「これまで見たことのあるどの葛布とも違う」という意味なのだと私は受け止めています

葛布の産地静岡の葛と北海道の葛はその性質が違います
気候も土地も違うのですから当たり前です
静岡の葛は雪に埋もれることはありませんが北海道の葛は一年のうち約半分は雪の下、物理的に雪に閉ざされるので太陽に当たる率もうんと低い上に、緯度も高いので真夏の日光の強さも気温も違います。また、芽吹いてから花を咲かせるまでの期間は1〜2ヶ月違い、土の成分も微生物も多分違う。そこで生き抜くための何かしらを備えた蔓の中の繊維の様子が、そうでない地域と違うのは当然のこと。さらに言えば、発酵させるときの微生物も違うでしょうし、繊維を洗い流す川の水の性質も違う。繊維となってから、保管されているときの温度や湿度も違います。
加えて、織り機などの道具の違う中で、「この葛を、その美しさをなるべく損なわずに、着物の帯として用に耐えうるものにするにはどうしたら良いか」またはそれ以前に「札幌の気候の中でより良い繊維を取るにはどうしたら良いか」を考えながら、経糸の太さや風合い、形状、材質、経糸緯糸の密度、葛の糸の太さ、などを思考錯誤した結果、
「葛布っぽくない」ものが出来上がった

本来の、と言っていいかどうかわかりませんが、葛布の「葛布らしさ」を無視しているわけではもちろんありません。むしろ私なりに知りうる限り大いに参考にし、大いに真似をしてきました。しかし、葛の糸の良さが生き美しく永く残っている、古い時代の葛布の持つ、その迫力や美しさには、到底敵うわけもなく、また、現在静岡で織られている葛布のしなやかさや光沢と、土地と歴史に根ざしたような、それらに裏打ちされたような、気迫気概のようなもの、それらにも全く及びません。だからといって、それに対抗しようとして独自のものを作ろうと思って作ったわけでもありません。北海道の葛で北海道の気候で、着物の帯として、より良いものにしようと右往左往した結果、「そうなってしまった」と言うのが適当です

少し話が逸れますが、「服地として使いたい」というお問い合わせを有難くもいただくことがたまにあるのですが、しかし、そうなると、上記一連の試行錯誤を一からやり直すことになってしまうので、私はとても躊躇します。希望される方が結構多いようなので、やってみようと思っていたこともあったのですが、諦めることにしました。帯の試行錯誤で精一杯。多分できない。
私一人ではできないのですが、けれども、例えば同じように、北海道の葛で「服地としての葛布」を思考錯誤していく方が、もしかしたら現れるかもしれないな、なんてことを夢見ながら、そんな風に、これから、長い年月かかってでも、北海道の葛布が育っていきながら残っていったら良いな、その足がかりになれるように、と思いつつ


今年一番の言葉は「葛布っぽくないね」

ということで、年末のご挨拶に代えたいと思います
今年一年、本当にたくさんの方の応援支援を頂きました
ありがとうございました
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします


(おまけ)
木曽駒ケ岳の山頂神社
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天気のせいで荒涼としています。この日(2017.10.19)、初雪だったようです
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駒ヶ根や伊那の街中を、何とは無しに流れている側溝のような川の水の綺麗なこと
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発つ前、天気を調べると、札幌と気温があまり変わらなかったので不思議だったのですが、この街自体が日本アルプスに囲まれていて標高がすでに1000メートルあると知って納得
札幌で言えば、手稲山の山頂くらいの高さです
冬はもちろん寒く、積雪量も多いのだそうです


登山の後、伊那紬の工房を訪ねることもできました
素晴らしい旅でした
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# by watanabeshino | 2017-12-24 09:51 | 制作に関して/雑感 | Comments(0)
工房営業お休みお知らせ
毎週土曜日の工房営業
12月30日は年の暮れのためお休みします
その他、お問い合わせはこちらからどうぞ

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# by watanabeshino | 2017-12-20 11:50 | お知らせ | Comments(0)



織/葛の糸と葛の布
by 雪草